イチジクのカミキリムシ駆除大作戦    TOP PAGE  菜園インデックス  果物  作業記録 
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「イチジクのカミキリムシ駆除大作戦」について
     
イチジク栽培において、カミキリムシの幼虫による幹や枝の食害は、イチジク栽培における最も留意すべき問題点となっています。
他の一般の果樹の害虫による被害は、概ね一過性のもので、薬剤散布等により駆除すれば、害虫により収穫は少なくなったり駄目になったりしますが、概ね樹木そのものが致命的な被害を受けることはあまり無いのですが、カミキリムシの幼虫による被害は、樹木の生命をも危うくし、薬剤などによる駆除もかなり困難です。
今回10品種程度を接木しているイチジクに、多品種を接木することになったので、「イチジクのカミキリムシ駆除大作戦」という少々大げさなタイトルで、カミキリムシ対策の実行をご紹介してみることにしました。
とりあえずは、日常の比較的簡単な管理・対策でなんとか対応してみたいと思っていますが、それでも芳しくない場合、レベルアップした対応も考える必要があるかなとも思っています。

現状の大分悲惨な木の状態

被害例1− 2022年4月24日撮影
根元付近も幹の表皮の半分以上が被害を受け、3割程度は木質部が露出しています。カミキリムシ幼虫の駆除の為、皮を削ったところには癒合材を塗布しており、その部分は茶色っぽくなっています。
被害例1− 2024年10月18日撮影
2年半経過の状態です。先は長そう。

被害例2− 2022年4月24日撮影
最初の枝分かれしている部分の被害が最も酷く、幹の木質部がえぐれた状態になっています。これが完全にふさがる(可能としても)のは何年もかかりそうです。
被害例2− 2024年10月18日撮影
2年半経過の状態です。先は長そう。

被害例3− 2022年4月24日撮影
最初の枝分かれしている部分から2番目の枝別れ部分の被害の状況です。被害例2のところから続けて幹の木質部がえぐれた状態になっています。
被害例3− 2024年10月18日撮影
2年半経過の状態です。先は長そう。

被害例4− 2022年4月24日撮影
被害例3で左側に伸びている枝の最初の分岐ぶの状態です。被害例3より少しはマシですが、やはり、大分木質部が見えています。
被害例4− 2024年10月18日撮影
2年半経過の状態です。少し先が見えて来たかな。

当面の対策方針と実施例

@木の中の幼虫駆除

4月〜5月頃は、カミキリムシの幼虫の食欲が活発になり、どんどん木を食害して成長する時期であり、大きくなった幼虫が成虫になる時期ですので、まずは、幹の食害の痕跡である虫糞を見つけて、駆除することを徹底したいと思っています。
幼虫駆除は、以下の3段階で行います。
@ - 虫糞の出ているところの皮を削ってみる。幼虫が見つかれば、捕殺し、癒合材を塗布して完了。
A - 幼虫が見つからなければ、孔を見つけてテッポウ虫駆除剤を注入。癒合材を塗布して経過観察。
B - テッポウ虫駆除剤を注入しても虫糞が出ているようなら、小さなドリルで幹に孔をあけ、駆除剤の原液を注入。

A樹勢の強化
カミキリムシは、弱った木に卵を産み付ける傾向がある為、木の栄養状態を良くして木を強化する。

B成虫の駆除
成虫が木にみられるようなら、カミキリムシ成虫幼駆除用薬剤を散布する。

Cその他の対策
産卵から幹を保護する塗布材やバイオリサなどのカミキリムシ防除用も考慮していますが、コスト面の難点などから、現時点では@〜Bの対策で対応したいと考えています。


幼虫駆除対策の実施例

まずは、庭に出たら必ず木の状態をみて、幹から虫糞が出ていないかを確認し、虫糞が出ていたら、その部分を削ってみて幼虫を取り除く事が重要と考え、見回りを行っています。
ここでは、虫糞が出ていた場合その状況と駆除の内容をご紹介しています。
被害部1発見− 2022年4月28日撮影
枝の途中で虫糞を発見。駆除作戦開始第1号の被害部です。
被害部調査− 2022年4月28日撮影
被害部をナイフで削って見ました。孔が開いており、どうやら中に食い入ってしまっているようです。
駆除剤注入− 2022年4月28日撮影
穴の中にスプレーで駆除剤注入。

後処理− 2022年4月28日撮影
癒合剤を塗布。

被害部2発見− 2022年4月28日撮影
虫糞が少し出ていたので、周りを少し掃除してたら、カミキリ虫の幼虫が見つかりました。
カミキリの幼虫− 2022年4月28日撮影
摘み出して駆除しました。
後処理− 2022年4月28日撮影
癒合剤を塗布。

被害部3発見− 2022年4月28日撮影
以前虫糞が出て対応した部分からまた虫糞を発見。少し削って見ましたが、幼虫が見つからず、穴が見つかったので、テッポウ虫駆除剤を注入。癒合剤を塗布し様子見です。
約10日経過してもその後虫糞が出ていないので、どうやら、テッポウ虫駆除剤注入により駆除出来たようです。
被害部4発見− 2022年4月28日撮影
以前虫糞が出て対応した部分からまた虫糞を発見。少し削って見ましたが、幼虫が見つからず、穴が見つかったので、テッポウ虫駆除剤を注入。癒合剤を塗布し様子見です。
約10日経過してもその後虫糞が出ていないので、どうやら、テッポウ虫駆除剤注入により駆除出来たようです。
被害部5発見− 2022年4月28日撮影
以前虫糞が出て対応した部分からまた虫糞を発見。少し削って見ましたが、幼虫が見つからず、穴が見つかったので、テッポウ虫駆除剤を注入。癒合剤を塗布し様子見です。
約10日経過してもその後虫糞が出ていないので、どうやら、テッポウ虫駆除剤注入により駆除出来たようです。

被害部6発見− 2022年5月5日撮影
以前虫糞が出て対応した部分からまた虫糞を発見。前回駆除仕切れていなかった幼虫が成長したようです。虫糞は小さくいですが、少しの異変でも見逃さないで早期駆除が肝要です。
幼虫発見− 2022年5月5日撮影
横に細長い食い跡の中央部分にいる白いのが幼虫です。まだ中まで食い込んでいなかった用です。
後処理− 2022年5月5日撮影
癒合剤を塗布。

被害部7発見− 2022年5月22日撮影
少し油断していたら、かなり多い虫糞を発見。そろそろ幼虫も大きくなり、虫糞も多いので、要注意です。
被害部調査− 2022年5月22日撮影
かなり広い範囲で齧り、その後幹の中に食い入った様です。幼虫は中と思いますので、穴からテッポウ虫駆除剤を注入。
後処理− 2022年5月22日撮影
癒合剤を塗布。

被害部8発見− 2022年5月26日撮影
わずかですが、虫糞の出ている箇所を発見しました。
幼虫発見− 2022年5月26日撮影
少し皮を削ったら幼虫が見えましたので駆除し、削った部分を癒合剤で保護して置きました。

被害部9発見− 2022年5月26日撮影
わずかですが、虫糞の出ている箇所を発見しました。
幼虫発見− 2022年5月26日撮影
少し皮を削ったら幼虫が見えましたので駆除し、削った部分を癒合剤で保護して置きました。

被害部10発見− 2022年6月20日撮影
久しぶりに、虫糞の出ている箇所を発見しました。
被害部チェック− 2022年6月20日撮影
被害部を削って見ましたが、幼虫は発見出来ませんでした。孔の奥のほうに入っているようです。
駆除剤注入− 2022年6月20日撮影
穴の中にスプレーで駆除剤注入,その後癒合剤を塗って置きました。

2022年7月のカミキリムシの様子 2022年8月のカミキリムシの様子 2022年9月のカミキリムシの様子
7月22日 − 別館にてカミキリムシ一匹発見・駆除
         表皮の齧り後2箇所発見
7月23日 − 庭の台木にカミキリムシ1匹発見・駆除
         表皮の齧り後は見当たらず
8月はカミキリムシの幼虫、成虫とも見当たりませんでした。 9月11日 − 9月は11日までに3匹の成虫を発見し、捕殺。

被害部発見 − 2022年10月23日撮影
久しぶりに、虫糞の出ている箇所を発見しました。今回は被害部を削らないで、皮のところにテッポウ虫駆除剤を注入しておきました。
しばらく様子を見て再度虫糞が出ていたら削ってみる予定です。

被害部発見− 2023年3月21日撮影
春になりカミキリムシの幼虫の食欲が旺盛になってきた様です。虫糞の出ている箇所を発見しました。
幼虫発見− 2023年3月21日撮影
幼虫が大分大きくなって来ていましたが、まだ穴は開けられてませんでした。
後処理− 2023年3月21日撮影
癒合剤を塗布。


樹勢の強化

イチジクを植えてある土地が粘土質であまり良い土壌では無いため、樹も周りの土を浴するため、水はけの良い土で盛土することとしました。
イチジクの木の周り − 2022年5月5日撮影
もともとは田んぼや沼地が多い地域のため、土は粘土質であり、水はけが悪く、乾燥すると硬くなる地盤です。その為、根は地下に入って行ににくく、あまり良い栽培環境ではありません。
根の状態 − 2022年5月5日撮影
シートを敷いていた部分は、根が地表付近で伸びています。

土の改良1 − 2022年5月5日撮影
木の寝の周りにバーク堆肥、パーライト、木の葉腐葉土、籾殻、プランタの土などを入れ、周りから10cm程高くしました。
土の改良2 − 2022年5月5日撮影
木の右側も同様に各種土壌改良材を敷ました。
通路、作業用の為の板設置 − 2022年5月5日撮影
温室の中の鉢植えの苗の世話等を行場合やイチジクの幹のカミキリムシ駆除の際に、土を踏み固めないよう、板ブロックを置きました。

イチジクの木の周り2a − 2022年5月6日撮影
根元から1m程度離れた領域にも根が張っている為、こちらの土壌改良も必要です。現在は苗の鉢などを並べています。
イチジクの木の周り2b − 2022年5月6日撮影
とりあえず、鉢を移動してみました。
イチジクの木の周り2c − 2022年5月6日撮影
やはり、根が地表部に沿って伸びてきています。

土の改良用資材 − 2022年5月6日撮影
こちら側にも写真のようなバーク堆肥や木の葉腐葉土、籾殻等を用意しました。
資材投入1 − 2022年5月6日撮影
まずは鹿沼土を敷増した。
資材投入2 − 2022年5月6日撮影
次に木の葉腐葉土です。

資材投入3 − 2022年5月6日撮影
籾殻、プランターの土、水はけを良くする焼結剤の投入。
資材投入3 − 2022年5月6日撮影
最後にバーク堆肥投入です。

鉢置用板の設置 − 2022年5月6日撮影
投入した資材の表面を少しかき混ぜてから、鉢を置くための板を敷ました。
完了 − 2022年5月6日撮影
鉢を板の上に乗っけて完了です。こちらも、周りの粘土質の地面から約10cm程盛土した状態になりました。

2023年3月20日  イチジクのの樹に栄養を集中する為、並んで植えてあったキウイの木を根元から伐採しました。


薬剤の散布等

農薬の利用履歴

2022年7月5日 木全体にベニカを散布した。
 
2022年7月10日 木に2匹のカミキリムシを発見
            木にバイオ リサ カミキリを取り付けた。
バイオリサカイキリの取付1 − 2022年7月10日撮影
それぞれカミキリムシの種類は違いましたが、畑で2匹、庭のメイン台木で2匹、それに柑橘とスモモで各1匹のカミキリムシの成虫を発見したので、急遽バイオリサカミキリを購入し、被害が出そうな主な果樹に取り付けました。特にイチジクは、念入りに取り付けを行いました。
これは、主幹と主枝の例です。。
バイオリサカイキリの取付2 − 2022年7月10日撮影
主枝や亜主枝にも念入りに取付けました。
バイオリサカイキリの取付3 − 2022年7月10日撮影
先端のほうの枝にも取り付けたので、どこからかカミキリムシが飛んで来ても、卵を産み付ける前に死んでしまうはずです。
既に産み付けられていて虫糞が出てきたら、速やかに駆除予定であり、この薬剤の効果がなくなるl頃に飛来するカミキリムシにも十分注意してみておきたいと思っています。
今回、多くの木に使用したので、残りは半分位になってしまいましたが、イチジクだけに使用するのであれば、あと4回分くらいは可能の予定なので、今年は今回購入した分で間に合う予定です。

2022年9月10日 − 9月になって3匹のカミキリムシの成虫発見・捕殺。どこからか飛んで来る様ですので、バイオリサ カミキリを枝10っ箇所程に取り付けた。(取り付け方法は7月10日と同様)
2024年10月18日 ー 今年も初夏に10箇所位にバイオリサカミキリを取り付けました。枝の上で2匹ほど死んだカミキリムシを見つけましたが、幹にカミキリムシの幼虫の虫糞は見つかりませんでした。


  
2024年10月18日更新: 被害の大きかった幹の回復状況の画像追加
2022年9月10日更新: カミキリムシとその対策の状況追加
2022年7月10日更新: バイオリサカミキリの取付画像追加
2022年6月20日更新: カミキリムシ駆除の画像追加
2022年5月24日更新: カミキリムシ駆除の画像追加
2022年5月8日更新: 土壌改良の画像追加
2022年5月4日 新規作成

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